作品名the children作者京华月恐怖文Word文档格式.docx

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思えば、この1ヵ月。

俺は、こうして杏奈と2人で仲良く登校をしていた気がした。

そう、決して「殺人鬼」とではなく、「杏奈」と。

そう信じたかった。

信じたい。

突如、木々の隙間から、横暴な水滴がパラパラと俺たちに覆いかぶさってきた。

空が、いつの間にか鼠色に汚れていた。

「天気予報では晴れるって言ってたのにい」

かわいらしいくしゃみをした杏奈は、キッと灰黒に支配された空を睨みつけた。

何とか学校の玄関に辿り着いたものの、俺も杏奈も全身ずぶ濡れだった。

準新品と言っても許されそうな制服は、手当たり次第に水分を吸い寄せ、素肌にこれでもかと密着してしまって実に気持ち悪い。

相変わらずザーッと小気味よいソプラノを奏でながら、水滴の軍団は俺たちを嘲り笑っているようだった。

俺も今朝の催眠的な春の日差しを、至福の時間を奪われてひどく不機嫌だった。

「いいや、行こうぜ。

杏奈」

「よくないよー!

反論する杏奈を無視しながら、俺は階段へと足を運んだ。

階段は妙に薄暗かった。

足を階段のタイルにつける度、キュキュッと啜り泣きのような悲鳴を上げた。

階段を上り終えると、前方には細長い廊下が見えてくる。

普段なら良好な太陽光が燦々と降り注ぐ贅沢な廊下なのだが、今日のように灰黒の曇天ではそんなことは望めず、薄暗く陰気な、かつジメジメとした廊下が広がっていた。

何とも気持ちの悪い。

手前の扉が俺と杏奈の教室だった。

俺が扉を強引に開け放った瞬間、突如おぞましい光景が眼に飛び込んできた。

「キャッ!

杏奈が空気を切り裂くような悲鳴を上げた。

杏奈の悲鳴が俺の鼓膜を切り裂き、俺の心に恐怖の種を植えつけた。

心臓の鼓動がうるさい。

戦慄が走る。

当然だ。

目の前には見知らぬ男が生々しく手前の首を吊っていたのだ。

力なく地に伸びる手や足が、奇妙な残虐性を物語っていた。

「またか……」

俺は溜息を吐いた。

クラスメイトたちは、天井からぶら下がっている男になど目もくれず、談笑の花を咲かせているだけであった。

何一つ変わらない。

死体なんか、「彼ら」には……。

先程、素っ頓狂な悲鳴を上げていた杏奈も、それきり怖がることなく友人たちの輪の中に飛び込んでいった。

殺人鬼たちの輪の中で、殺人鬼は愛くるしい笑顔を見せつけていた。

鼓動がメチャクチャに暴れ出した。

滲み出す冷や汗。

俺は恐る恐るぶら下がっている男を見上げた。

苦しそうに、恨めしそうに歪んだ形相で生徒たちを見下ろす男。

まさに、鬼という形容が相応しかった。

クルシイ……。

クルシ……。

悲痛な声は掻き消され、殺人鬼たちの囁きや下品な笑い声が、頭の中にいつまでもこだましている。

灰黒の空から生み出された液体もまた、容赦なく窓ガラスを叩きつけている。

まるで男の運命を嘲り笑うかのように。

死体なんか、「彼ら」には……ほんの飾りにしか過ぎない。

何故なら、この世界には「子ども」しか存在してはいけないのだから……。

第2回2まるで、俺を包囲するかのように四方にそびえる高層の本棚。

それでも収まり切らない本たちが紅い絨毯の上に乱雑に転がっている。

そこは静寂に満ちた空間。

時間と空気を締め付けるかのような息苦しい空間。

俺はゆっくりと宙を仰いだ。

呼吸に意識を集中させる。

視線の先には、3階部分へと吹き抜けるガラス窓。

ガラス窓は淡い橙色に染まっている。

先程から、事ある度に真っ黒な鴉が羽を休めに東の蒼ざめた空から飛んでくる。

時折、俺を挑発するかのように、薄汚い漆黒のくちばしでガラス窓をカツカツと突く不届き者さえいる。

さらには、汚く鳴き荒れる者も。

不快だ。

俺は視線を膝の上の新聞記事に戻した。

家に帰る前にどうしても調べたかったことがあったので、ごねる杏奈をさっさと帰らせ、俺は単身でこの図書館に潜り込んでいたのだ。

「無罪か…」

記事に目を落とした俺はぼそりとこぼした。

記事自体は4年前の朝刊であった。

 先程から俺が調べていることは、最近、日本中を震撼させている不可解な社会現象のことだった。

それは、「子ども」たちによって「大人」たちが次々に殺されているという、奇妙で信じ難い現象であった。

その引き金ともなった最初の事件の裁判の判決結果が、4年前に下されていたのだ。

この事件は元々5年前に起こった、普通の少年(15)による過去の事件を見ても何ら変哲のない、残忍な両親殺害事件であった。

そして、過去の事件から見ても、多くの者が重刑を科したほうが良いという意見を持っていた。

しかし、1年経過後の判決は何故か「無罪」。

まさに信じ難い結果であった。

なんでも精神鑑定の結果、犯人の少年は、犯行時に何らかの催眠をかけられて極度の精神衰弱状態に陥っていたらしかった。

このことが科学的に立証され、ついには無罪という裁判官にとっても納得しがたい、苦渋の判決を言い渡すほかなかった、と実際に裁判に関わった石渡裁判長がコメントしている。

その後も類似した両親殺害事件が後を絶たずに頻発した。

多くの者たちが少年の方針に従うかのように、自らの両親を殺害し、同じような経緯で無罪判決を言い渡されていったのだった。

気がつけば、周りには20歳以上の人間、世間で言うところの「大人」はこの世から姿を消していた。

それが今現在の「子どもしか存在してはいけない社会」へと変貌し、強くこの国の概念に根付いたのだ。

そして、歴史は今日へと至る。

おそらく、今朝の男も20歳以上である、とそういう短絡的な理由で殺害されたのだろう。

子どもだけしか存在しないこの世の中では、裁判など高度な議論を行えるはずもなく、真犯人であるクラスの殺人鬼共は無罪になるに決まっているのだ。

いや、無罪どころか起訴さえされないに違いない。

言い知れぬ怒りがこみ上げてきた。

新聞紙を握る手がガタガタと振動している。

頭に血が昇るのを感じながら、俺は歯軋りを繰り返していた。

「ありえねえ……」

俺は新聞記事を傍らの本棚に叩きつけ、その場を後にした。

雨はすっかり上がっていた。

おかげで艶やかな赤い空に見惚れながら学校の玄関を出ることができた。

軽やかな足取りで無数の水溜まりに支配された校庭を軽快に横切っていく。

心が洗われるような、爽快な気分を味わえた。

先程の怒りが嘘のようだ。

実に気持ちの良い。

小さい水溜まりが橙の光を反射させ、煌いている。

山の中の林もまた、赤い斜光を浴びながら優雅に体を揺らしている。

どこからかひぐらしの鳴き声が心に響き渡る。

思わず瞳を閉じた。

弾けるような水のメロディーとひぐらしの紡ぐ鳴き声が絶妙に交じり合っている。

どこからか清々しい風が湧き上がる。

ああ、何と幸せな時間だろう。

まさに、これが俺の追い求めていたものだ……。

平穏な心を取り戻すために、自然に潤いを求める。

どうやら、これが俺の生きがいらしかった。

「松添くん!

感動にふけっていると、突如背後からかわいらしい少女の声。

振り返ると、そこには杏奈が息を切らして立っていた。

かわいらしい小さな肩が上下している。

「あれ?

杏奈?

杏奈には帰るように促したというのに……。

もしかして、今までずっと俺のことを待っていてくれたのだろうか。

杏奈はすぐさま俺の横に並んで一緒に歩き出した。

「う、うん。

一緒に帰ろう」

「何だ……待っててくれたのか。

何だか悪いな」

「そんなことないよ。

私が勝手に待ってただけだもん」

俺の微笑みに、杏奈は満面の笑みを浮かべた。

その、煌びやかな表情に橙の太陽光が降り注いで、異様なくらい眩しく感じられた。

しばらくくだらない話で談笑していたら、いつの間にか1階建ての小さな教会の前の道に行き着いていた。

日没前だと言うのに、意外に多くの学生たちが教会前の道を行き交っている。

ここは町内でも比較的静かな場所だ。

教会の敷地にはきちんと短く刈りとられた芝生が綺麗に立ち並んでおり、両脇には太い樹木が教会を堅固するようにピタリと張り付いていた。

時折、清々しい風が樹木の香りを運んでくる。

「気持ちの良い場所だよね」

杏奈が瞳を閉じながらつぶやいた。

杏奈の前髪が風にたなびいている。

甘い髪の毛の香りが鼻腔を刺激した。

「ああ、そうだな」

俺も頬を緩ませながらうなずいた。

ここの、どことなく西洋を感じさせる雰囲気が俺は大好きだった。

目を閉じる。

木々のざわめきに混じって、学生たちの声が咲く。

目を開くと、前方の交差点から乳母車を押した女性が近づいてくるのが映った。

女性は桃色のハットに桃色のワンピースといったラフな格好をしていた。

時折、乳母車の中を覗いては何事か囁きながら、こちらに向かって歩を進めてきた。

ハットのつばが深いためか、顔までは窺えなかったが、相当な美人と見える。

女性はゆっくりと確実に俺たちの方へと近づいてきた。

しかし、すれ違いざまに俺は我が目を疑った。

幻覚……?

いや、そんなはずはない。

でも……。

え……?

「……なっ!

俺は信じられない光景に言葉を失った。

杏奈が鋭く女性の腕の中に割り込んでいった様子は見えた。

しかし、次の瞬間にはつばの下から覗く女性の表情が派手に歪んでいた。

ややあって女性の表情から力が抜けると、そのまま杏奈の胸の中に顔を埋めたのだ!

そして……女性の腹部から夥しい量の鮮血が滲み出てきた。

真っ赤な液体は桃色のワンピースを伝い、コンクリートの上へと吸い寄せられた。

無数の紅い花がコンクリートの上に咲いた。

刹那、乳母車の中から甲高い鳴き声が上がった。

俺はようやく我に返り、視線を杏奈に戻した。

杏奈の白い歯が紅い唇の隙間から見えた。

……笑っている?

俺は絶句した。

言葉に詰まった。

鼓動の跳ねる音がひたすらに響いた。

血の気が一斉に引いていくのを感じた。

嘘だ……。

信じたくなかった、目の前の悲惨な光景を!

ふと気がつけば、真っ赤なソースを顔に塗りたくった殺人鬼の笑顔がそこにあった。

殺人鬼の背後の乳母車は未だに泣き喚いていた。

まさに地獄の光景とはこのこと……。

「ごめん、松添くん。

時間取らせちゃったね。

帰ろ……」

「何やってんだあーーーーっ!

不意に頭の中が真っ白になった。

殺人鬼がビクッと肩を震わせたような気がした。

俺は殺人鬼の背後に倒れこんだ女性の元に駆け寄る。

そして、ちょっとかじった程度の応急手当をぎこちなく済ませ、血まみれの震える手つきで携帯のボタンを押し、救急車も手配した。

一連の様子を呆然と眺めていた殺人鬼は俺の行動に、きょとんとした態度で疑問符を添えた。

「な、何してるの?

松添くん」

「馬鹿野郎!

早く助けないとこの人は……」

「23歳だよ」

殺人鬼は低い声でぼそりとつぶやいた。

「え?

心臓を抉り取るような鋭い声に、俺の背筋は凍りついた。

杏奈におそるおそる視線を戻す。

殺人鬼は真っ赤な顔でニヤリと不気味な微笑を浮かべた。

「私は知ってるよ。

この人は23歳だよ、松添くん。

私は何1つ間違ったことなんかしてないし、むしろ正しいことをしたんだよ。

どうせ誰かに殺されるんだったら、私が一瞬であの世に送ってあげた方が……」

バシ!

目の覚めるような鋭くて乾いた音に、周囲の時間が一瞬凍結した。

俺の脳内は完全に思考が停止していた。

ユルセナイ……。

ただ、脳がそう処理したことにより、次の行動を決定させてしまっていたのだ。

ようやく俺が杏奈を殴ったという事実に気がついた時には、脅迫的な焦燥感に襲われていた。

脳内が真っ白に塗りたくられていた。

「ご、ごめ……」

「……」

杏奈は俺の叩いた部位を赤白い手で優しく覆った。

そして、俺をジロリと切れ長の目で睨みつけると、

「松添くん……キミはおかしいよ」

殺人鬼は低く唸るような声を押し出した。

突如、背中に氷を入れられたような寒気に襲われた。

背筋を言い知れぬ戦慄が走った。

鼓動は激しさを増すばかり。

心臓だけが体の中から飛び跳ねて出てくるような、そんなおぞましい光景を想像させられた。

吐き気。

ぐわ……。

フラフラになりゆく思考回路が最後に俺自身に伝達した言葉。

……いや、おかしいのは俺の方なのか?

答が欲しかった。

無性にその答が欲しくなった。

その執念が俺の視力を取り戻してくれたかもしれない。

鼓動の嵐。

左胸で暴れている。

落ち着け……。

真実を、見極めるんだ。

騙されるな……。

……俺が正しいんだ!

間違っているわけ、ないじゃないか……。

しかし、正気に戻った俺を待っていたのは、背後からの複数の痛い視線だけだった。

先程まで通りを歩いていた少年少女たち数人が、いや、殺人鬼たちが俺の背中に無口な視線を送っていたのだ。

そう、まるで軽蔑するかのような。

いや、まるでつまらない物を見るような、温かみの欠片もない視線だった。

奇妙な疎外感が芽生えた。

左胸の振動が異常なまでに加速していく。

最高潮に達した。

何だ……?

何なんだ!

 

こいつらは……!

イ、イカレテル……!

乳母車から発せられる金切り声がいつまでも俺の心を震わせていた。

第3回3「……」

薄暗い家屋の中。

俺は乳白色の壁にもたれるようにして、冷たい赤茶けた木の床に腰を下ろしていた。

足元にはお湯を注いだばかりのカップラーメンが2つ。

香ばしい湯気が俺の鼻腔を刺激する。

先程から、何度も視線をカップに落としては腕時計を眺め、を繰り返していた。

俺はハアッと細い溜息をついた。

長い……。

1日中座り込んでいたかと勘違いするくらい、長い時間を過ごしたように感じた。

しかし、実際は5分弱しか経過していなかった。

脱力感。

今だけは、何もやる気が起きなかった。

「兄貴、飯」

俺は傍らのクローゼットに向かって寝惚けた声音で呼びかける。

返答はなかった。

しかし、物音1つ発生しない薄暗い部屋には、俺ともう1人の家族がいた。

ややあって軋んだ音を立てながら、クローゼットの木の扉が徐々に開かれた。

のそり、と太い足が覗いた。

そして、扉の中からヒゲをボウボウに生やした漂流民のような男が姿を現した。

男は生々しい脂ぎった髪の毛を振り乱し、ヒゲも海草のようにモジャモジャ。

太い二の腕と足を装着し、指先には不潔に黄色く伸びた爪。

肩の上には茶黒い小型のゴキブリが付着していた。

それだけではなかった。

男の登場で何とも言えぬ異臭が立ち込めてきた。

汗臭いような、生ゴミのような、何とも言えぬ異臭が鼻腔を襲撃した。

俺は鼻をかばって悶絶した。

「兄貴……風呂くらい入れよ!

俺の悲痛な叫びに男は面目なさそうな、ひ弱な笑みを浮かべた。

「……ん。

そうだな……」

 頭をボリボリと掻き始めた。

途端に、脂ぎった髪の毛の間から、茶色い固形物がボロボロと零れ落ちた。

どうやら“ふけ”のようだ。

やがて、部屋の中には湿った麺をすする音だけが響き始めた。

傍らの漂流民も俺も、それきり言葉を生産することなく、目の前のカップを空にすることだけに集中していた。

しばらくして、すっかり空になったカップを傍らに放り、俺たちは各々冷たい床の上に寝そべった。

固く冷たい感触が腕や足を包み込んだ。

薄暗い部屋。

蒸し暑さが襲い掛かってきた。

時計はいつのまにか夜の8時を指していた。

思わず、右斜めの窓に視線を向けてみた。

緑と白の縞模様のカーテンが夜風にゆったりと揺れている。

見事な催眠術にかかりそうになりながら、俺は視線を青みがかった乳白の天井に戻した。

「学校はどうだ?

浩二」

突如、兄貴の寝そべっている方角から低い声が届いた。

俺は首だけを起こして兄貴の方に視線を向けた。

視線の先には、お腹をポンと突き出した兄貴が力なく寝そべっていた。

兄貴も随分変わったなあ……。

俺は首を戻しながら、言った。

「学校かあ……。

怖いなあ」

「怖いならやめちまえばいい」

「いや、いい年こいて兄貴と1日中、家にいるのはどうかと思うぞ」

「それもそうだ」

再び沈黙が部屋中に舞い降りてきた。

相変わらず、青みがかった乳白色の天井。

やがて、どこからともなく甲高いいびきが聞こえてきた。

おかげさまで微かな眠気も一挙に吹き飛んだ。

兄貴の方に視線を向けると、案の定、内臓脂肪でポンと突き出たお腹を何度もバウンドさせていた。

再び、青白い天井。

ふと気がつけば、“あの時”のことについて脳ミソは思考を開始していた。

あの時……。

真っ赤に染まった乳母車が泣き喚く中、真っ赤なサイレンが到着した。

救急車からブカブカの白衣を着けた「子どもたち」が飛び出してきた。

「どいてください!

患者はどこですか?

数名の救急隊が、俺を睨みつけていた群衆を掻き分けるようにして輪の中に飛び込んできた。

そして、すっかり立ち尽くしたままの俺と杏奈の脇をすり抜け、コンクリートにうつ伏せになっている女性の元へ……。

救急隊は脈拍を測ったり、呼吸を確認したりを手早く行い、仲間の隊員に向かって叫んだ。

「心肺停止してます!

早く担架!

「担架なんて要りませんよ」

突如、傍らの杏奈がぼそりとつぶやいた。

杏奈の表情は前髪に隠れて見えなかった。

しかし、言葉にならない怖気が俺の背筋を急激に冷やした。

「ええっ!

隊員たちは呆気に取られたような表情で、杏奈に視線を送った。

「この人は“子ども”じゃありませんから」

杏奈のボソッとした低い声に、周囲の空気は凍りついた。

……本当に、こいつは、あの杏奈なのか?

俺の知っている、杏奈なのかっ!

うろたえてしまった俺だったが、すぐさま我に返り、凍結してしまった隊員たちに厳しい視線を向けた。

目で訴える。

早く行けよ!

この人、死んじゃうじゃねえか!

死んじゃったらどうすんだよ!

早く、早く連れて行けよ!

脳内で数々の言葉が、混ざり合い暴れている。

鼓動もドラムのごとく暴れている。

ややあって隊員たちはすっと立ち上がった。

隊員たちの顔にオレンジの陽光がかかった。

ホッ……。

これでようやく、この女性は助かる……。

助かった……。

俺は胸を撫で下ろした。

……しかし、

「あ、そうですか。

それでは帰りましょう。

撤収!

撤収!

はあっ!

俺は我が耳を疑った。

い、今、こいつら何て……?

何て、言った……?

隊員たちは誤報かあ、と口々に愚痴をこぼしながら救急車に飛び乗った。

そして、そのまま救急車は橙色の空へと吸い込まれていった……。

確実に世界は、その色を濃くしている。

確実に……。

“大人”が生きることの出来ない世界。

にわかには信じ難いが、確かに少しずつ実感として湧いてくるものはあった。

と、同時に焦燥感がつきまとった。

実は、俺の兄貴?

一雄は“大人”だった。

今年で23歳。

今は世間に顔を出さずに、この家に隠れ潜んでいる。

当然、外をフラつけば夕方のような惨劇を引き起こしかねない。

ガタッ!

突然の破裂するような音に、背中がビクッと震えた。

音源は兄貴の方からのようだ。

再び首だけを上げて兄貴に視線を送る。

どうやら、寝相の悪い兄貴がクローゼットに衝突したらしい。

髪を振り乱した兄貴がクローゼットに抱きつくようにして倒れている。

何だよ……全く。

思わず、笑みがこぼれた。

ピンポーン。

気がつくと軽やかな呼び鈴が鼓膜に覆いかぶさってきた。

一体、どれくらい寝ていたんだろう……?

俺は重い目蓋をこすりながら、ゆっくりと立ち上がった。

傍らでは相変わらず兄貴の大いびきが響いている。

「はーい」

しつこい奴だな……。

行きますよ、今から。

急かす様なチャイムに苛立ちながら、俺は1階へと降りていった。

階段からは黄色い光の束が差し込んでいた。

俺はすかさずインターホンに駆け寄った。

画面に映し出されたのは、満面の笑みを浮かべた“殺人鬼”だった。

殺人鬼は真っ赤なバラの束を抱え、高らかにこう言った。

「松添くん、お見舞いに来たよ。

第4回4インターホンに映る、薄桃色の可愛らしい唇が芋虫のごとく蠢いた。

「松添くん、お見舞いに来たよ」

唇の奇妙な蠢きとは裏腹に、心地の良い清涼な少女の声が耳をつつく。

そこでようやく俺は自我を取り戻した。

冷静になり、少女の言葉を脳で正確に分析?

処理する。

お見舞い……?

何のことだ!

「だって、松添くんは今日学校をお休みしたじゃない。

松添くんの友達として、今日はお見舞いに来てあげたんだよ」

何を寝ぼけているの、と困惑したような声。

俺が、休み……?

まさか……!

俺は隣のリビングルームに通ずる扉を跳ね飛ばした。

リビングは散らかり放題だった。

室内は全体を白い壁で覆われている。

しかし、床は無数の雑誌や洗濯物で埋まり、中央のテーブルは、おそらく兄貴の使いかけらしいコップや皿で敷き詰められ、隅の、本来ならノートパソコンを設置しておく小さな台の上には、ここ1か月分くらいの生々しい新聞紙の大群が、どっさりとパソコンを押しつぶすように積み上げられていた。

室内は鼻を突くような異臭は勿論のこと、さらには視界不良で、新種の蟲が発生しそうな空間を存分に醸し出していた。

そういったあらゆる物体をドカドカと手や足で跳ね除け、部屋の中央に足を踏み入れた。

そして、真正面の白い壁にかろうじて張り付いて

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